お詫びとお知らせに代えて


「聡子さんが創り上げてきたもの」


先日、Happy Toco 結成15周年シリーズの締めくくりとして、私・榊原光裕のオリジナル楽曲特集を聡子さんが企画してくれて、Liveを無事に終えた後のことだった。

聡子さんが、その夜のうちは、何とか会話ができていたものの、翌日には、呼吸がおかしくなり、明らかに憔悴しきった状態となり病院に運んだ。


これまでも、彼女の人生に、怒涛のように、想像を遥かに超えた出来事の波が襲ったことも、何度かあった。それでも、何とか耐えて、音楽活動も貫いてきた。



秋田での「アラヤード・ピクニック」も、主に仙台での「Happy Toco」も、実質的には、聡子さん一人で、全企画内容を考え、会場主や全共演者と交渉し、演奏の選曲や構成を最終判断し、リハーサルのスケジュールを立て、当日お配りするプログラムやときに記念誌などの制作を入念に進め、ステージや備品を整え、スタッフが必要なときは手配して指示を出し、それが難しいときは自分が引き受け、事務局が不在となってからはお客様への案内の発送作業や諸々の事務仕事までして、そしてさらにヴァイオリンを弾いてきた!


特にコロナ禍に見舞われてからは、皆さんに支援をお願いし、支援してくださった方々お一人お一人にお礼をして、活動を成り立たせてきてくれた。

聡子さんは、アラヤード·ピクニックのための活動と、ハッピー·トコのための活動に、全身全霊をこめて生きてきてくれたと言っていいかもしれない。



この15年間、おかげさまで私自身、いい音楽活動を続けてくることができた。

純粋で、繊細な感受性を持つ聡子さんと一緒だったからこそ、私は、これまでのHappy Toco およびArayard Picnic の活動を続けてこられたのだと思っている。


そうなのだ……

じつのところ、聡子さんほどに、純粋で、また繊細な感受性を持つ人を、私は、他に知らない。



まさに聡子さんは、人並みはずれた感受性と感覚をもっている。

音楽面だけでも、音の高さを楽器を使わずに聞き分ける絶対音感、それも同時に鳴っている音でも、楽器ごとに、和音の中の構成音まで聞くことができる。また、かなり微細な、常人には聞こえないような小さな音も聴いている。


些細なことだが、私が驚くことの一つは、屋外の人の足音で、それが何の配達人で誰なのかを聴き分けて、呼び鈴が押される前に出迎えに出ること。配達人の一人一人の名前を覚え、一人ずつの雰囲気に合わせたトーンでお礼の言葉をかける。


何げなく隣の席に座った赤の他人から相談を受け、傾聴してあげている姿を見ることもよくある。

また仕事柄、海千山千、有象無象に、接することも少なくないが、聡子さんは、一瞬で人を見抜くことが多い。とくに「あの人は本物だ」あるいは「偽物だ」と見分けることに長けている。肩書や社会的な評価など関係ない。私もほぼ同一見解となる。

人間としての本物かどうかだ。


ありとあらゆる場面を共有して過ごしてきたが、彼女が発する言葉、彼女が反応する態度に、この人はピュアそのものだ、と思ったことは、数えきれない。


これまで、来場くださるお客さまがどのような気持ちでお越しになり、その空間で、どのように時を過ごしていただくかを想定して、会場に入られてからお帰りいただくまでの様々なことに気を配り、細やかな設定をして様々な準備をしてきてくれた。

ただ、いろいろな制約の中で、彼女の思い描くようになかなか出来なかったこともストレスだったかもしれない。



彼女は、決めたことは実行する、という人だけに、Club通信もかかさず何年も書いているが、ホームページでの発信になかなか取りかかれていないことは、責任を感じて辛く思っているようだ。

実際、今回、彼女が酷い体調となり、食べることも話すことも出来なくなった翌日に、まず言ったことが

「Club会員の方々に、お詫びをお伝えしなければ……

 会場主にもご連絡をしなければ……

 お客様に通信を出したばかりだったのに、がっかりさせてしまうのが辛い……」

ということで、さっそく、ご常連の方にだけでも、と震える手で、気力を振り絞ってmailを打ち始めたのだった。


デリケートすぎる彼女を傷つけてしまったものが何なのかは、頑丈な心と体を持った人にはなかなか分からないところもあるかと思う。

ただ、彼女を追いこんでしまったもの、彼女を苦しくしてしまったものから、すこし今は、解放してあげたい、と考えている。



そんな聡子さんの状況をお察しいただき、“復旧”まで少しの時間、活動を見合わせたいと思います。今後は、通信のお送りの仕方なども変更があるかもしれません。

いつも温かいお心でご支援いただいている皆さまには、たいへん申し訳ありませんが、お目にかかれる日までお待ちいただければありがたいです。


 追記 Club会員の年度期間は、延期いたしますので、ご安心ください

  Happy Toco 榊原光裕



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